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秋生のなんでもない日常の出来事
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2024/05/13 (Mon)
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2008/05/05 (Mon)

ブログの機能を活かしてみようかな、とまた禄でもないことを思いつきました。
企画と銘打つには1回で終わってしまう可能性が高いので、実験と言い張ってみます(笑)
ルールは簡単
1.身近な物を写真に撮る。
2.それにアトリエ(なるべくクラマリ)でお話をつける。

と、言うわけで「身近な物でアトリエ!」第1弾は『鍋つかみ』

 


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

『鍋つかみ』
 鍋つかみ








「マルローネさん。台所にあったのですが、コレはなんです」

「うん?ああ。鍋つかみじゃない。それがどうしたの?あんた、まさか鍋掴みを知らないの?」

小難しい勉強ばかりしているから、と首を振るマリーにクライスが絶対零度の視線を投げた。
普通の人間なら竦み上がるその視線も残念な事にまるで効き目はなく、仕方なくクライスはへの字に結んでいた口を開く。

「正確には鍋掴みだった物でしょう。私はなぜ、鍋掴みがこのような憐れな姿になっているのかを聞いているのです」

「なぜって、そりゃあ、燃えたからよ。1銀貨店のはダメね。あんまり物が良くないわ。ちょっと火に近付けただけで、ぼっと燃えちゃうんだもん。普通はちょっと焦げる程度なのにさ」

「……普通、鍋掴みは焦げたり、燃えたりする物ではないでしょう」

「え?普通は燃えるでしょう。中綿が燃えるくらい火がつくのは、さすがにコレが初めてだったけど、でも焦げるくらいは普通よ。前のも、その前のも焦げて穴が開いて使えなくなったもの」

悪びれる事なくあっけらかんと答えられ、クライスは呻いた。

「鍋掴みは熱から身を守る物であって、火から身を守る物ではありません」

「ありませんって言われたって、現実に燃えるんだからしょうがないでしょ」

「しょうがないではありません。あなたは自分の使い方を反省しようと言う気はないのですかっ」

「なんで反省しなきゃいけないのよ。あたしは普通に使ってるだけよ」

「普通に使っていないから燃えるんです」

鍋掴みだった物を前に喧々囂々と言い争う二人を横目に、紺妖精は小さくため息をつく。
二人とも錬金術士なのだから、燃えない鍋掴みを作ればいいのに、という呟きは、優秀なはずの二人の錬金術士の耳には届かないのだった。

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