その確率

暑さに負けてばかりもいられないと思いつつ、またまたブログでの小話でごめんなさい。


たぶん、アカデミーの廊下での光景。

～その確率～ 


「絶対に成功させてやるんだから！後で、この賭けはナシなんて許さないわよっ」 

目尻を吊り上げ、噛み付くマリーに、クライスが冷やかに笑う。 

「大丈夫ですよ。あなたと違い、私は記憶力がいいですからね。忘れたり、反古にしたりはしません。あなたの方こそ、しっかり覚えておいて下さい」 

「あたしだって、しっかり覚えておくわよっ。後で吠えづらかいても知らないんだから」 

「随分と強気ですね。まあ、ドードー鳥が空を飛ぶ確率と同じくらいの成功率でしょうが。
ご報告、お待ちしていますよ」 

クライスの言葉をどう受取ったのか、マリーは任せておけ、と胸を張った。
その様子を横目に、ノルディスはそっと、けれど出来るだけ急いでその場を離れる。
クライスが誇らしげにドードー鳥について説明すれば、何が起きるかは容易に想像が出来るから。

この場に居て、その騒ぎに巻き込まれない確率など、
それこそドードー鳥が空を飛ぶ確率より低いというものだ。

ドードー鳥。
それは最近南の島で発見された鳥の名前。
珍種中の珍種で、鳥と名が付いてはいるが、飛ぶことも速く歩くこともできない不思議な鳥。