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秋生のなんでもない日常の出来事
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2009/08/27 (Thu)
 面白そうなバトンを見つけました。
その名も
【明るいお題で泣くバトン】
 
こういうのは創作系バトンというのでしょうか。
あまりお題サイトさんへ遊びに行かないせいか、とても新鮮に感じます。
で、これの2番でお話を書いてみたいなぁ、と思って、またまた勝手に拾って参りました。
※バトンの詳細につきましては、すぐ下の記事をご覧ください。
 
ご注意
・ルールにシリアス限定の短文という制限がある為、全体的に薄暗い話になっております。
・我家の設定を一部使っておりますが、シリーズとは全くの無関係な話です。
 今回書いた話の設定を使う予定もありません。
・私にしては珍しくちょっぴり大人風味です。
あくまで風味なので過度な期待はしないでくださいね)
 
苦手な方はご注意くださいませ。
 
あ、ちなみに、泣けません。
看板に偽り有りです。ごめんなさ~い。
 

【明るいお題で泣くバトン】
※次のお題で短文を作って下さい。ただし内容はシリアス限定です。
 
2
▼やさしい声
▼ありがとうを君に
▼見上げた青空
▼さあ、夜は明けた
▼ハッピーエンド∵ 



▼やさしい声
 
「マルローネ…さん」
 
耳元で何度も繰り返し名前を呼ぶ声。
いつもの冷めた声音からは想像がつかないほど熱を持った声は、あたしの脳を芯から溶かす。
それでも最後に残った冷静な部分が、思考の片隅で疑問を投げかける。
やさしく、やさしく愛を囁かれる度に浮かぶ疑問。
 
- ナゼ、ソンナニ哀シイ声デ呼ブノ -
 
けれど与えられる熱に翻弄され、疑問は言葉になる事なく霧散した。
 


 
▼ありがとうを君に
 
義務だけで構成された世界の中で、ただ淡々と果たすべき責務を果たしていただけのあの頃、自分の未来に希望を見いだせずにいた。
錬金術を極める事を目標としてはいたが、それは責務の一つであって明確な自分の意志ではなかった。
良く出来たホムンクルスのごとき空虚な存在だった私を、人間に引き戻したのは、あなただった。
今、私は自分の意志で錬金術に向きあっている。
 
深い感謝の意だけを告げ、胸に秘めた想いは、そのまま海の向こうへ連れていくはずだった。
けれど、もう会う事もない、そう思うと歯止めがきかなかった。
想いを告げると予想通りの戸惑った表情。
本当の意味で、全てに区切りがついた瞬間だった。

それでも、あなたは優しいから、哀れな男に一夜の夢を与えてくれた。
同情からきたものであると知りつつ、私はあなたの優しさに甘え、愛を囁きながら心の中で感謝と謝罪を呟いた。


 
 
▼見上げた青空
 
ゆらゆらと波間を漂うように夢を見ていた。
初めてこの街を出ると決めた時の夢。
この街を出る事を告げるあたしの前には、まだ少し幼さの残る顔をしたあの頃アイツが居た。

あの時と同じように、アイツは、そうですか、と言った。
引き留めるでもなく、激励するでもなく、ただ『そうですか』と。
記憶をなぞるように夢の中のあたしも、二、三言葉を交わして気まぐれに誘う。

『ねえ。あんたも、一緒に行かない?』

その言葉に少し驚いたように目を見開いた後、アイツはふと空を見上げた。
あの時、あたしは小さな呟きを耳にしていた。
聞かせるつもりなどない、ふと零れてしまった言葉を。
ほんの少しの間の後、何事もなく断ったあの時と違って、夢の中のアイツは哀しそうに笑ってその言葉を繰り返した。
 
『…この空は、私には高すぎる…』
 
そして目の前にアイツは、いつの間にか今のアイツになっていた。
大人のクライスは空を少し見上げた後、真っ直ぐにあたしを見た。

『この街を出ることになりました』

そう告げたアイツに、夢の中のあたしは、現実には聞けなかった言葉をぶつける。

『あんたにとって…この空は…もう…高すぎはしない?』

夢の中のクライスは答えず、ただ静かに微笑むだけだった。
 


 
▼さあ、夜は明けた
 
金の髪を一房掬い上げた。
さらさらと指の隙間から零れ落ちていく金の光を静かに見つめる。
嫌と言うほど理解をしているはずなのに、それでも期待を抱いてしまう。
夢を見てしまう。
有り得ない未来を思い描いてしまう。

いつだって本当に欲しいものは、この手をすり抜けていく。
それが現実。
だから、この光もまた…。
朝に弱く、寝起きの悪い愛おしい人の髪をまた一房、その手にのせて口づけた。

「マルローネさん、愛していますよ」

夢の中にさえ届かない言葉を口にして苦く笑う。
 
「すみません。あなたの優しさに甘えてしまいました」

謝罪と共に手の中の髪を解放する。
このまま、ここに留まる事が出来たなら、せめて彼女が目を覚ますその時まで、髪や頬を撫で、その身を抱きしめる事が出来たなら、何かが変わったのだろうか。
有り得ない未来予想図。

夢の時間は終わった。
もう、旅立たねばならない。
 
 
 
▼ハッピーエンド∵
 
目を覚ますと夢心地で感じていた隣の温もりは、気配すら残って居なかった。
まるで最初から存在していないように。
ふと覚える既視感。
最初から人など住んで居なかった様にガランとした部屋。
クライスの気配がカケラも残っていないその工房は、見知らぬ場所と変わらなかった。
 
引き払う準備が出来た工房は、人が住める場所ではないから、と宿屋へ移った昨日と違い、今日は本当に旅立ってしまったのだろう。
テーブルの上に置いてあるメモがその事実を、あたしに教える。
几帳面な字で書かれた事務的な連絡事項の最後に、少しためらうように書き添えられた『ありがとう』の文字。
ただそれだけ。

『行かないで』

そう言えたなら、何かが変わったのだろうか。
けれど、その言葉をあたしは言えなかった。
だってそれは、あたしの我が儘でしかないから。
昨夜の事が、ひどく遠くに感じる。
突然の告白に、驚きと喜びで声をなくしたあたしを抱きしめてくれた腕は、もうない。
たった一夜の夢の名残りで痛む身体を引きずるように宿を出た。
 
 
作りかけのまま放りだされている生きてるホウキを見たくなくて、工房に戻らず妖精の木の下にぼんやりと座り込んでいたら、通りの向こうから凄い勢いでエリーが駆けてきた。

「今まで何処に行っていたんですかっ」

開口一番そう怒鳴られて、普段の彼女からは信じられない勢いで叱られる。
今朝、クライスが旅立ったのをダグラスから聞いて、それを報せる為に捜し回ってくれたみたい。
素直に謝ると、気遣うように見つめられた。

「マリーさん。ちゃんとクライスさんに言いたいこと、言いました?」

「え?」

意味がわからずに聞き返すと、エリーは真剣な顔であたしの腕を掴んだ。

「マリーさん。急いで工房に戻って、生きてるホウキを仕上げちゃいましょう」

「え…だって、もう…クライスは行っちゃったから…」

戸惑って口を開けば、エリーは怒ったような顔をした。

「あげるって約束したんじゃないんですか。マリーさんらしくないですよ。出発に間に合わなければ、届けに行けばいいじゃないですか」

きっぱりと言い切られて、はっとした。

「そっかぁ。そうだよね。今から急いで仕上げて、空飛ぶホウキで追いかければ、何とかカスターニェで追い付けるかな?」

あたしの問いにエリーが嬉しそうに笑う。

「ダグラスの予想だと、峠を過ぎた辺りじゃないかって」

「え?」

「馬車酔いに耐え切れなくて降りて歩くの」

付け足された言葉に、今更ながらアイツが乗り物に弱かった事を思い出す。
思わず吹き出すと、エリーもクスクスと楽しそうに笑う。

「ちなみに、ルーウェンさんの予想だと、峠に差し掛かった所だそうですよ。余裕でカスターニェに先回り出来ますね」

悪戯っぽく言うエリーに、あたしもおどけてみせる。

「ダグラスより、ルーウェンの予想を信じるんだ?」

「はい。だって私、そちらに賭けてますから」

賭けは私情を挟まず、確実な方を選ぶもんです、と悪びれずに言われる。
きっと今頃ふて腐れている騎士を思い浮かべながら、確かに、と大きく頷いてみせる。

「それじゃあ。ホウキを渡しに行くついでに確認しておいたげるわ。たからエリー、悪いけど生きてるホウキの調合を手伝って」

心良く引き受けてくれた同居人と共に、工房へと急ぐ。
言い忘れた言葉を、ホウキと共に届けに行こう。
踏み出した道は、確実にアイツへと続いている。
 


ごめんなさい。ラストがすでに短文でなくなってます(泣)

 

徒然言の蓮葉さんが拾ってくださいました。
ブログにて答えてくださいました。看板通り、きちんと泣ける切ないお話に仕上げてくださってます。
とっても素敵なのでぜひ、読んでそして読後の余韻をお楽しみを~。
>>8月29日付 2番 シア視点
>>9月11日付 3番 マリー視点

「つれづれなる日常」の汀さんが拾ってくださいました。
アンジェリークとアトリエの2パターンでお答えくださいました。

>>アトリエ編はコチラ 
3番でジャンル:アトリエ、シア視点
健気に生きているシアがいます。

>>アンジェリーク編はコチラ 
5番でジャンル:アンジェリーク、CP:マル→ロザ
切ない片想いの素敵なお話です。アンジェリークがお好きな方はぜひ!


空の城」のむつみさんがこっそり拾ってくださっていたのを発見!
空想中の中にある9月5日付の日記にて、アトリエで答えてくださってます!
ほんのりクラマリ風味なものもあって必見ですよ~。

 

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